2011年10月26日水曜日

エピクテートス 30 関係性はシンプルに

エピクテートス


[30]


https://youtu.be/_r9OEgfdAaY





エピクテートス提要 30


関係性はシンプルに


以下の文中の「提要」の和訳は岩波文庫『人生談義・下』(鹿野治助)からのものです
* * *

ケンガイ:エピクテートスの「提要」の 30 番をお願いします。
ケンナイ:30 番は:「義務は通例、[対他的]関係によって測られる。彼は君の父である、すると君は彼の面倒を見、すべてに譲歩し、ののしられても、なぐられても、辛抱せねばならぬというわけだ。」とあるね。
ケンガイ:これは昔のお話ですからね。現今では父親にこんな権威は無いですよ。
ケンナイ:そおお?
ケンガイ:私みたいなダメ親父のほうが多いでしょうね。「しかし彼は悪い父です。」というよりも、「ダメ親父」「ダメダッディー」「粗大ゴミ」扱いですよ。
ケンナイ:へ~え。エピクテートス先生は続けて言っているね:「そうするとまさか君は、本来善い父と(親子として)関係づけられたというのじゃあるまいね。いやただ父と(親子として)関係づけられただけだ。」
ケンガイ:なんか、ややこしいですね。
ケンナイ:そんなことはないよ。たとえばあなたの子供さんが、「彼はダメ親父です」とエピクテートス先生に訴えたとしてごらん。そうすると、エピクテートス先生なら、「君は彼と本来ダメ親父とダメ子供として関係づけられたのかい?余計な思いみなしをしなければ、ただの親子という関係じゃないのかい?」と言うのさ。
ケンガイ:な~るほど。伴侶や子供たちが私を好き勝手にダメ~と思いみなし、私もまた伴侶や子供たちをあれこれに思いみなしているのですね。思いみなしをハズスと、ただの夫婦とか親子なのですねえ。
ケンナイ:うん。それで「わたしの兄弟は不正をします。」と言う者に対しては、「では彼に対する君自身の位置を保持し給え。彼が何をしているかは考察するな…」と答えるのさ。
ケンガイ:どうも身びいきのような気もしますが。
ケンナイ:夫婦・親子・兄弟姉妹などの関係性の上に、色々な思いみなしを重ね置きすると、いずれはかなり複雑怪奇な人間関係になって、愛憎渦巻くカオスに陥るのが常だよ。身内が善いことをしている、悪いことをしているといっても、その善悪判断は各人の思いみなしにすぎないんだよ。
ケンガイ:是非善悪の分別判断は、個人・民族・国家などの立場によって異なるとは、前に説明してもらいましたが。
ケンナイ:そうだよ。だから、あれやこれやの思いみなしからは離れて、「むしろ君が何をする時君の意志が自然本性にかなうことになるかを考えるがいい。というのはもし君が欲しないならば、他人は君を傷つけないだろうから。だが傷つけられたと君が考える時、その時こそ君は傷つけられていることになるのだ。かくてもし関係を見るのに慣れるならば、このようにして君は、隣人から、市民から、将軍からして彼らに対する義務を発見することだろう。」
ケンガイ:エピクテートス先生は、どのように対人関係を生きていたのでしょうか?
ケンナイ:この偉大な哲学者には奴隷の時期があったようだけれど、おそらく奴隷らしく振る舞っていたのだろうね。奴隷から市民になってからは、おそらく普通の市民としての義務を果たしていたように思うね。
ケンガイ:こんなに偉い先生がですか?
ケンナイ:偉いというのは、権内において偉大だということで、将軍とか、今でなら大統領や首相だから偉いということではないよ。
ケンガイ:どうも、世間の常識丸出しですみません。
ケンナイ:真の偉人というのは、ラマナマハルシでもマハートマ・ ガーンでぃー mahAtma-gAndhI でも、動物や無知な人たちとも親しい友のようであり、ごく当たり前に市井の人たちのように生きて、それでいて権内の王者だよ。世間での権力者とか有名人と かは、権外の王者かもしれないが、権内の貧者だよ。
ケンガイ:私のような者には、なかなかそういう識別ができません。
ケンナイ:権内と権外をごちゃまぜにしているからさ。
ケンガイ:ごちゃまぜ?
ケンナイ:権外に多大な価値観を置いてきた上で、権内の価値観をかじると、玉石混淆(ぎょくせきこんこう)アタマが出来るんだよ。
ケンガイ:私の頭がですか?
ケンナイ:そうだよ。なんとかしなさい。
ケンガイ:どうすれば、なんとかなるのですか?
ケンナイ:まずは石ころを捨てることだね。
ケンガイ:もっと具体的に教えてください。
ケンナイ:権外は石ころ、権内で自然本性にかなったことが珠玉と、明確な意識を持つんだよ。
ケンガイ:そう聞いてもすぐ忘れてしまうんです。
ケンナイ:忘念会の幹事長みたいなもんだね。
ケンガイ:職務がら、忘年会や新年会も毎年幹事やら会計の当番なんです。
ケンナイ:権内の見張り番に変身しないといけないね。