2011年10月29日土曜日

エピクテートス 概説


エピクテートス


修行が進歩しない理由


キクダケ:『エピクテートス』は HyperCard のスタックとかで、面白い作りのようですが、文字が小さいですからねえ。
セツメイ:そうだね。それでそれぞれに対して「別記」を書いておいたので、それで学修したらいいよ。
キクダケ:以前の教材のほうには、講習会の録音のリンクがありますね。
セツメイ:HyperCard 教材が中心だったころ、みなべ講習会には参加者が Macintosh を持って来ていたので、それぞれにスタックを見ながら講習会をしていたね。
キクダケ:私は Windows なので HyperCard のことは知りませんが、ヨーガヴァースィティの以前の教材をすべて HyperCard で作っていたのはなぜですか?
セツメイ:いまだに HyperCard に匹敵する便利なアプリケーションソフトは無いように思うね。SuperCard という後継ソフトが有るけれど、おぼえるのがけっこうむずかしいものなので、あまり普及していないね。ワシも仕方無しに html で教材を作っているけれどね。
キクダケ:仕方無しに?
セツメイ:そうだね。インターネットで公開するために html を利用しているだけで、まったくプライベートな教材を作るのだったら、いまだに HyperCard のほうを使いたいほどだね。
キクダケ:へ〜え。そんなに便利なソフトがなぜ使われなくなったのでしょうね?
セツメイ:アップルの CEO の考え方にそぐわなかったか、彼の要求に開発者たちが応じられなかったかだろうね。それと所有権の問題もあったろうね。
キクダケ:html は便利だと思うのですが、不満なのですか?
セツメイ:あれこれ不便な点があるけれど、そういうことを言ってもしょうが無いからね。目的をある程度達成できるなら、その時代にマッチしたものを使うよりほかはないよ。
キクダケ:エピクテートスの教えは坐禅をしている人にも有益ですか?
セツメイ:もちろん!
キクダケ:どうしてですか?
セツメイ:坐禅では覚触の実修が最重要でしょう?
キクダケ:そう聞いています。
セツメイ:あなたは 10 年ほど坐禅会に行ってるようだけれど、思いの手放しのほうはどお?
キクダケ:10 年たってもこの私、って感じですねえ。どうして進歩しないのでしょうねえ?
セツメイ:権内と権外の識別ができていないからだよ。
キクダケ:どういうことですか?
セツメイ:権外の物事に対する執着の思いをグルグル回しする生活をしているから、手放しする修行が必要になるということを、坐禅する人たちがあまり自覚できていないのさ。
キクダケ:できていないと思います。
セツメイ:とにかく思いの手放しをできればいいのだけれど、どうしてそうなのかをよく理解できていない人たちとか、本音としては考え事に価値観を置いている人たちは、坐禅をしても覚触修行が深まるわけはないね。
キクダケ:そうですか…
セツメイ:ヨーガの場合でも事情は同じだね。
キクダケ:そうしますと、どのような宗教の修行にもエピクテートスの教えは有益なのでしょうね?
セツメイ:もちろん!
キクダケ:ヨーガヴァースィティの教材体系の中で、エピクテートスはどのように位置づけられているのですか?
セツメイ:ヨ(ー)ガ界では体操が主流なので、なんとか呼吸法に進んでもらい、そこから瞑想修行に入らないとなんにもならないからね。プラーナーヤーマ prāṇāyāma(調気行)をしていても問題になるのは、考え事の湧出なんだよ。ところが、プラーナーヤーマをしてみても、瞑想あるいは坐禅をしてみても、自分の考え事によく気づけない人たちのほうが多い。そこでアーナーパーナ・サティ ānāpāna-sati の「サティ(気づき)」が重要になる。あるいは思いの手放しを説く必要が出て来る。ところが、先ほど指摘したように、権外と権内の識別なんてまったく意に介さない生活をしてきた人たちが坐禅やヨーガの修行を始めてみただけのことなので、坐禅会やヨーガ教室に行っている時ですら、ましてやその他の時間には権外一色のグルグル回しをしているにすぎないから、サティあるいは覚触が全然深まらない。そこで究極の修行道であるアートマ・ヴィチャーラ ātma-vicāra(思いの出所の探究)に進んでいくためには、エピクテートス先生の権内・権外の教えをある程度は学修しておかないといけないことになる。アートマ・ヴィチャーラは権内一筋の典型的な実修なので、時々思いの手放しをすることもありますなんていう程度の人たちにはまったく適さない。以上のような状況からしたら、エピクテートス先生の教えは、アートマ・ヴィチャーラに入る前に学修すると有効なことがわかると思うね。マインドフルネスの実修と併修するとよいだろうね。
キクダケ:なんとなく、自分がどうして進歩していないのかが見えてきました。
セツメイ:「なんとなく」ではだめで、ハッキリさせないとだめだね。
キクダケ:ハッキリさせてください。
セツメイ:権内と権外の違いをハッキリ理解しなさい!