2011年12月8日木曜日

kriyat08 ホーンソー(プラーナーヤーマ〜メディテイション)


!!クリヤー・ヨーガ kriyA-yoga の実修に入る前に『ハた・ヨーガ・プラディーピカー haTha-yoga-pradIpikA』1章2章の実修が必要です!!勝手にクリヤー・ヨーガ kriyA-yoga だけを実修して心身の不調に陥っても、当教材の提供者は責任を負いかねますのでご注意ください!!

第8章 ホーンソー(プラーナーヤーマ〜メディテイション)




[A 序論]


ホーンソーに入ります。ここで使用するのはゴースワーミー・クリヤーナンダHong Sau Upanishad です。 これは本来は『ホーンソー・ウパニシャド』というタイトルではなく、正式には『ハンサ・ウパニシャド haMsa-upaniSad』といいます。これには色々な訳がありますが、ここに持ってきているのは、ドイッセンという人が訳した『60 のウパニシャド1&2』で、その2にのっているのです。元々はドイツ語訳なのですがその英訳も出ていて、それに『ハンサ・ウパニシャド』として出ています。日本語としては東方出版の『ウパニシャット全集』の第6巻に、「ハンサウパニシャット[70]」として訳が出ています。昔からこんなふうに、サンスクリット学者たちが日本語にも訳しているウパニシャドがあるのです。佐保田先生が訳されたものは 代表的なウパニシャドだけで、小さいものは訳していません。ただ東方出版のこういうのを買うより、英語で読んだほうがいいです。たとえば東方出版の『ウパ ニシャット全集』の第6巻には、「白鳥「我」に関する奥義」と出ていて -- ハンサ=白鳥は最高のヨーギンを表わします --、“ガウタマ仙日く、バガヴォンよ、一切の法を知れる者よ、一切の聖典に通ぜるものよ、梵明の覚は、そもそも、いかなる方便に依て生ずるや。”と訳さ れていますが、日本語としてもあまりわからないですね。英語だったらわかると思いますから、英語で読んでみてください。


[B アーナーパーナ・サティ]


『ホーンソー・ウパニシャド』の p. 13 に、うがった見解が出ています。
  1. The most universally applicable method for developing meditation is what is called “AnApAna-sati”:(瞑想を深めるために、もっとも普遍的に応用できる方法は、アーナーパーナ・サティと呼ばれているものである。)
    これはクリヤーナンダが言っているのです。前に、アーナーパーナ・サティもタントラ・ヨーガのプラーナーヤーマ prANAyAma प्राणायाम もいっしょですと言ったことがありますが、ここにも同じ見解が出ています。アーナーパーナはパーり語で入出息(呼吸)のことです。サティは気づきです。それを説明しているのが、そのつぎの英語です。
  2. attentiveness on the incoming and outgoing breath.(入出息に注意が充分向いていること。)
    自分の入息出息に充分気づくことであるアーナーパーナ・サティが、最もいいということです。ですから、仏教の瞑想法とタントラ・ヨーガの瞑想法と、何も変わらないのです。
  3. This technique in no way interferes with the normal breathing pattern(このテクニーク、アーナーパーナ・サティは、決して普通の呼吸のパターンをじゃまするものではありません)
    たとえばクンばカ kumbhaka をできない人たちもいますね。でもアーナーパーナ・サティなら、一般の人でも、あるいは病人であってもできますね。
    while being used as a point of concentration.(集中手段として用いられているとき)
    皆さんがたとえば針仕事や台所仕事をしているときでも、息に気づいていても、それらの仕事をじゃまするものではないですね。アーナーパーナ・サティをしたら、日常生活によけい気づくということです。息にとらわれていたら、車を見失って交通事故に会うとか、そんなことはないのです。息をすって私は車を見て、 息をはいて私は車をよけると、よけい気づくようになります。
  4. The Hong-Sau meditation is based upon this method of AnApAna-sati.(ホーンソーというマントラを用いた瞑想は、アーナーパーナ・サティの方法に基づいているのです。)
    ということで、ホーンソーはクリヤー・ヨーガであって、アーナーパーナ・サティは釈尊が教えたのだから違うというのは、形しか見ていないのです。そうではなくて、内容をとらえるといっしょなのです。
……自分のしていることの本質的な意味に気づく、それがサティです。自分の能力に気づくというよりも、能力に対して自分がどういう思いを持っているか、慢心しているか、あるいはコンプレックスを感じているかのほうにに気づくべきです。自分意識で仕切ったことに伴う感情思考がどんなものであるのか に気づく、それがサティ = awareness です。




[C ホーンソー]


『ホーンソーウパニシャド』p. 14 に "ESSENCE OF THE HONG-SAU KRIYA"(ホーンソークリヤーの本質は何か)と書いてあり、その説明として6項目があげられてあります。
  1. It utilizes mantra, one of the great mystical techniques.
    (ホーンソーは宗教
    (秘教)上の偉大な行法の一つであるマントラを用いる。)
    この場合はホーンソーというマントラを用います。ソーハン so'ham といっしょです。我はカノモノなり、我は全体生命なりというマントラです 。
    Sounds are chanted silently in this kriyA technique. (ホーンソーの音は、このクリヤー・テクニークにおいては静かに唱えられる。)
    心の中でホーンと唱え、ソーと唱えるということです。silently(静かに)は、この場合は mentally(心の中で)と同義です。
  2. It utilizes concentration while gently observing the breath. (そっと静かに息を観察している間に、だーラナーを用いる。)
    たとえば眉間表面部、あるいは頭の中心とか、どこかに集中する。あるいは、ナーディー・しょーだナ nADI-zodhana をするときのパッセージであるマハー・ナーディーに集中する、ということを行ないます。一つにはマントラを唱えること、もう一つにはどこかに集中するという技法を用いることです。
  3. It utilizes prANAyAma, another of the great mystical techniques of yoga. (マントラを唱えることは、偉大な神秘的なヨーガのテクニークの一つであるプラーナーヤーマを用いることである。) プラーナ prANa をアーヤーマ AyAma = コントロールし、気づきの次元を拡張していくことです。プラ pra = 源初の+アナ aNa = エネルギーを用いて、自分をアーヤーマ(調御)していくこと。あるいは全体宇宙生命にプラーナ(=満たされたエネルギー)をアーヤーマ(調御)していくこと。アーヤーマは単なるコントロールだけではなく、次元を超えていくことと説明をしているのは、サティヤーナンダ・パラマハンサ先生やサティエーし ヴァラーナンダ先生です。いずれもクリヤー・ヨーガのマスターです。アーヤーマにはサンスクリットの意味からも、タントラ・ヨーガのテクニークからしても、拡張して・次元を広げ・深まっていくことであるとハッキリ説明したのは、今名前をあげたタントラ・ヨーギンたちです。ですから、『ヨーガ・スートラ yoga-sUtra』というのはクリヤー・ヨーガ・スートラ kriyA-yoga-sUtra であると言われるように、クリヤー・ヨーガとかタントラ・ヨーガを知らないと、不充分な解釈しかできない面もあるのです。パタンジャり pataJjali にアシターンガ・ヨーガを教えたのはマハー・ムニ・バーバージーで、しゃンカラ zaMkara の先生でもあると一説には言われています……
  4. It utilizes meditation as a spiritual process. (霊的な修行のプロセス=過程・手順として、メディテイションを用いる。)
    だーラナー dhAraNA(concentration ・集中)の連続した状態になったのを、でぃヤーナ dhyAna(meditation・瞑想)と言います。ですから集中するだけでなく、それを連続させていって、霊的に深まるという方法を用いるのです。
  5. It utilizes Asana, the technique of bodily stillness. (体の静けさ並びに不動という技法であるアーサナを用いる。)
    ここでいうアーサナとは、『ヨーガ・スートラ』に出てくるアーサナといっしょで、静かに坐るということですから、ハた・ヨーガのアーサナではありません。ラージャ・ヨーガ、あるいはアシターンガ・ヨーガのアーサナを用いる。そして、プラーナーヤーマをし、だーラナーをしてということですから、結局アシターンガ・ヨーガの説明といっしょですね。
  6. Finally, the sixth process utilized is mindfulness or observation of the self, which leads to balanced awareness of samAdhi. (最後に、このホーンソーで用いられる6番目の手順・方法は、自分自身を観察し、気づくこと。そしてそれは、サマーでぃというバランスのとれた気づきへと導いていく。)
    自分自身といったら体も息も心もあるのですが、最終的には「思い」だと、先ほどからなんども言っているとおりです。observation は観察していくこと。mindfulness は気づきで、complete awareness(十全な気づき)といっしょです。mind(心)に、気づきが fulness(いっぱいに満ちていること)です。心における充分な、あるいは complete(完全な)気づきがマインフルネスです。そのように見ていくことが、ここの observation です。obsevation of the self というのは、meditation is appointment with myself といっしょです。私自身と約束ごとを取りつけること、それからハズレないこと。そしてそれは、サマーでぃという、バランスのとれた、つまり complete(完全な)awareness(気づき)へと導いていくのです。ここは仏教用語でいうと守正念に当たります。正念を守る。『ヨーガ・スー トラ』にもアーサナの説明として書いてあるのですが、アナンタ ananta = 無限のもの -- Self・アートマン・ブラフマンですが -- ソレに意識を合わせることがアーサナです。ですから、ソレを発見するためには自分の思いという限定根因に意識を合わせて、それがハズレルところを確認しないといけないのです。ということは自分の思いの出所の探求といっしょですから、クリヤー・ヨーガ=アートマ・ヴィチャーラ=アシターンガ・ヨーガ=祗管打坐となるわけです。全部いっしょなのです。その理解・悟りのために、このホーンソー・プラーナーヤーマは大変便利ですよ、ということです。

https://youtu.be/jxVDurOrA5k

[D アしヴァッた]



この絵は、ジヨーティルマヤーナンダYoga of Perfection p. 140 からのさし絵ですが、アしヴァッた azvattha という樹をご存じでしょう?根が上にあって、さかさまになって葉が茂っています。この根のほうが、サハスラーラあるいはコーザル体だと思えばいいのです。ぼくたちの基盤といったら、肉体的には足・脚でしょう。でも霊的には逆なのです。サハスラーラ、上のほうから霊的なエネルギーがやってきて、そして枝があって葉が茂って、と現象世界が出ているのです。ハンサ haMsa は白鳥のことで、全体生命と一体になった完璧なヨーギンを指します。それを逆にするとソーハンとなるわけです。ソーハンではなくホーンソー(ハンサ)と唱えるのは、霊的なエネルギーは肉体と逆で高次元から低次元へ流れてくるので、ホーンソーを使って霊的に昇って行こうというのです。それでハンサのマントラを唱える時に、よくアしヴァッた樹が引き合いに出されます…

ホーンソーを行なう時は、最初にマハー・ナーディー・しゅッでぃ mahA-nADI-zuddhi を使ったら便利です。あとは眉間か頭の中心をとらえて、ホーンソーを唱えるだけです。そうしたなら、ホーンソーのマントラを使ってマハー・ナーディー・しゅッでぃの復習をしてみます。眉間表面部に意識を合わせておいてください。いったん息をはいていってください。息をすいながら心の中でホーンと唱えながら、眉間から頭の中心に意識を導き、息をはきながらソーと心の中で唱えて、意識を眉間表面部にもどしてやります。この要領で、自分の息の長さに合わせて、入息がホーンで、出息がソーです。ホーンソーのマントラで、しばらくマハー・ナー ディー・しゅッでぃを行なってください…できる人は「けーチャリー・ムドラー khecarI-mudrA」と「ウッジャーッイー・プラーナーヤーマ ujjayI-prANAyAma」を入れて、視線は眉間、あるいは頭の中心を見つめているつもりになって不動に保ちます。この美しいマントラを気持ちよく唱えて静まっていったらいいのです……気持ちいいのだけれども、もう「だーラナー(一点一心集中 dhAraNA)」に入ってもいいという人は、眉間表面部にだーラナーするか、あるいは頭の中心のほう、奥の松果体と思われるところにだーラナーして、息をすう時はホーン、息をはく時はソーとマントラを唱え続けながら、ずっと集中し続けます。だーラナー・だーラナー・だーラナー…し続けます……